日本ウミガメ協議会

-Sea Turtle Association of Japan-

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更新日 2017-04-25 | 作成日 2009-04-02

調査・研究

●産卵地での産卵回数等の調査


keinenhenkazu3.jpg日本国内におけるアカウミガメの主要産卵地での産卵回数の経年変化図 ウミガメ類のように絶滅が危惧されている動物では、生息数あるいは個体群規模の動向を常に把握・監視していくことがとても重要で不可欠な作業になります。しかし、ウミガメは広い海をあちこちと回遊して生活していますから、それをいちいち追いかけて直接目視で数えることはまず不可能です。これに対して、産卵の時は必ず砂浜に上陸して来ますし、これを数えることは比較的容易です。そこで、産卵回数や上陸回数は個体群規模の目安として最適であり、これを調査することはウミガメを調べる上で必須なのです。特にアカウミガメに関しては、わが国は北太平洋における唯一の産卵地であり、日本全体における産卵回数の推移は、世界的な関心事でもあるのです。
日本では八重山諸島から福島県までの主に太平洋側に産卵地が散在し、それぞれの地域で個人や団体が独自に産卵痕跡調査を継続してきました。特に徳島県の日和佐と蒲生田における調査は1950年代にはじまり、世界でも最も長く継続されている調査です。しかし、残念ながら一部を除き情報は公表されず、産卵地の分布や全国での産卵回数などの情報は長年不明のままでした。そこで、日本ウミガメ協議会は1990年に全国ウミガメ産卵アンケート調査を実施し、これを集計して全体像の把握を試み、以後、毎年同調査を継続させてきました。
その結果、以下のことが明らかになってきました。
・ 国内におけるアカウミガメの産卵は西日本の太平洋側に集中し、鹿児島県だけで全体の6割を占める。
・ アカウミガメの産卵回数は、1990-91年から97-98年にかけて全国的に激減した。
・ その後は低いレベルのまま推移したが、2002年に屋久島で爆発的に増加した。
・ ここ最近、産卵のために日本の砂浜を訪れるメスのアカウミガメは、1500~2000個体ほどである。

日本ウミガメ協議会では、各地の調査結果を埋没させることのないように、また実際に調査を行った方の名前を記録に残すために、資料集の出版・公表もしています。
genjyo.jpg「日本のアカウミガメの産卵と砂浜環境の現状」
日本ウミガメ協議会 編
A4版:162ページ
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●産卵・発生環境(砂浜)の調査

minabe_fukachousa.jpg孵化調査 ウミガメが産卵のために訪れる砂浜は、埋め立てや護岸の建設などの開発や砂の減少によって、多くがすでに消滅またはその危機に瀕しています。自然環境問題に対する意識の高まりとともに、貴重な砂浜を保全したり、消滅またはその危機にある砂浜を再生したりすることが行われるようになってきました。しかし、その多くはよそから砂を運んできて砂浜を人工的に造ったり、突堤やテトラポットを設置して砂がたまりやすくしたりするなど、物理学的・工学的な手法によって海岸の形だけを一定に保持しようとするものが多いようです。しかし、砂浜を構成する環境要因は地形だけではありません。そこで、ウミガメ協議会では、ウミガメの上陸・産卵のための環境特性という視点を中心に、海岸植生や海岸小動物の役割とその重要性を解明し、保全・再生すべき海浜の環境特性について研究を行っています。

<事業実績>
・環境庁(1992)
・沖縄県教育委員会(1999~2001)
・環境省モニタリング1000(2003~)
・環境省委託「八重山のウミガメ産卵場現況調査」(2003)
・セブン-イレブンみどりの基金助成(2004)
・河川環境整備基金助成(2004)

●八重山におけるタイマイとアオウミガメの索餌海域の生態調査

ishi1.jpgカイメン調査 八重山諸島はサンゴ礁が発達し、また西表島の西部のように藻場が発達した海域もあります。亀崎は1983年より同海域でカイメンを餌にしているタイマイ、さらに海草を餌にしているアオウミガメの調査を行っています。その結果、この海域はタイマイとアオウミガメにとって重要な餌場であることが分かってきました。現在では、黒島研究所のスタッフによって研究が続けられています。

●モルジブにおけるタイマイの索餌海域の生態調査

Maldivestaimai_HP.jpgダイビングでタイマイの生態調査 モルジブには世界でも有数のサンゴ礁が存在します。この海域のタイマイはこれまで潜水漁で捕獲された経験がないのか、人を恐れません。それを利用して、標識調査を実施しています。調査は南マーレ環礁にあるリゾートVadoo島で、阪本時彦さん、いづみさん夫妻とともに行っています。高水温で世界的にサンゴ礁が死滅した1998年、モルジブでも多くのイシサンゴ類が死にました。その後、タイマイの成長速度がどんどん低下してきていることが確認されています。サンゴ礁の隙間がなくなり、餌のカイメンという動物が減少したことが原因かと思われます。

●室戸・野間池の定置網におけるウミガメ調査

MUROTOkichi_HP.jpg定置網での混獲調査 本沿岸には数多くの定置網組合が操業しています。そこでは目的とする魚種のほかに、ウミガメ類が数多く混獲されることが近年の研究で明らかとなってきました。そこで当会では、定置網漁師さんの協力を得て、日本沿岸に回遊するウミガメ類の生態を解明するとともに、漁業者に対する環境保全への取り組みを推進していく事業を行っています。現在では高知県室戸岬周辺で操業する定置網と、鹿児島県野間池で操業する定置網に同乗し、共同で調査を開始しています。

●人工衛星を用いた回遊経路の追跡

argos_oshika.jpg発信器付きのアカウミガメを放流argos_houryu2.jpg


ウミガメの回遊生態を把握することは長年困難とされてきました。一般的に動物の移動を調べる方法として標識放流がありますが、これでは放流地点と再捕地点が分かるだけですし、あくまで漁業による再捕と漁業者の善意に強く依存しているため、回遊について理解するには限界があります。これに対して、「アルゴスシステム」と呼ばれる極軌道衛星と電波発信機を用いた追跡システムでは、ウミガメが海面浮上した際の位置が随時分かり、バッテリーの寿命が来るか発信器が外れるまでの間、追跡を続けることができます。


argos_all_map2.jpg日本産アカウミガメ22個体の回遊経路図日本ウミガメ協議会は2004年春までに、産卵を終えたアカウミガメや、定置網などで捕獲されたアカウミガメ22個体に電波発信機を装着して追跡してきました。その結果、概して、体の大きさによって異なる回遊パターンを示すことが分かってきました。つまり、甲長800mm以下の比較的小さな個体は黒潮親潮混合域や黒潮続流域へ回遊していき、甲長833mm以上の比較的大きな個体は東シナ海へ向かい、そこで特定の海域に固執し、その中間の大きさの個体は、黒潮の南側を時計回りに周回しながら、時折日本列島に接岸するといった具合です。

●標識放流調査 

pra_tag.jpgプラスチック製の標識 ウミガメは生活史のほとんどが海中であるため、その行動を追跡することはとてもむずかしいものです。そこで、産卵のために上陸した個体や漁業によって混獲された個体に標識をつけることによって、次にどこかで再び捕獲されたときにその番号が分かれば、どのくらいの範囲を移動している、どのくらい成長したなど色々な情報がわかります。これまで全国各地の多くの方々に協力していただき、現在までに約4万個の標識を使用しました。

●漂着死体の調査 

stranding_matsuzawa.jpgアカウミガメの漂着死体の甲長を測定する 日本各地の海岸にウミガメが漂着します。その漂着した個体の場所、状況、種、胃内容物などを調べることで普段見ることの出来ないウミガメの生活史の一端を知ることができます。例えば生活域、食性、形態の違い、DNAからの遺伝的な違いなどです。しかし、日本は広くなかなか全国をくまなく調べることができません。そこで広くサーファーやダイバーなど海に関係する多くの方々へ情報提供のお願いして情報を集めています。特に2004年よりサーファーから情報をいただけるよう連絡先が書かれた携帯電話に貼り付けるステッカーを配布しています。