日本ウミガメ協議会

-Sea Turtle Association of Japan-

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更新日 2017-07-20 | 作成日 2009-04-02

提言・意見書

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「辺野古基地予定地とウミガメに関する日本ウミガメ協議会の見解」2012年7月25日

●「辺野古基地予定地とウミガメに関する日本ウミガメ協議会の見解」12/7/25
 普天間飛行場の移設先である名護市辺野古地区におけるウミガメの産卵に関して、いくつかのマスコミがその問題を取り上げている。当会のこの問題への見解をここに記しておきたい。
 沖縄本島ではアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種のウミガメが産卵するが、2011年に当会に寄せられた情報によると、2011年の上陸確認回数はそれぞれ818回、129回、8回であった。また、最も数が多いアカウミガメが上陸した砂浜は、本島全体で66か所存在し、国頭村、東村、大宜見村、名護市、今帰仁村、本部町から構成される北部では内、44か所が記録され、まだ自然が残されている本島北部にウミガメ産卵地の中心があることがわかる。辺野古地区での調査結果は得ていないが、それなりの上陸は行われていると思われ、確かにその砂浜が消失することは遺憾に感じる。
 ただし、日本ウミガメ協議会は辺野古地区の砂浜消失よりも、基地の建設によって引き起こされる可能性の高い、より大きな問題に懸念を抱いている。
 辺野古地区に面する大浦湾やその北の沿岸域はジュゴンやアオウミガメの貴重な生息域であることがわかってきている。彼らが生息しているのは、この海域にウミヒルモやリュウキュウスガモといった餌となる植物が繁茂しているからである。しかし、今回の基地建設によって辺野古周辺あるいは大浦湾周辺の流れの構造に変化が生じ、もっと多くの砂浜や餌となる植物が消失する懸念があるのである。
 辺野古周辺や大浦湾、さらにはその北のリーフの内側の海底に存在する砂、あるいは砂浜に堆積している砂は、現段階での潮の流れによってバランスがとれた状態になっている。この流れは基地に伴う海中構造物の建造によって変化することが予想される。流れの変化は砂の移動に変化をもたらし、周辺の砂浜を消失させることは、日本各地で報告されている。また、流れの変化とそれによる砂の堆積変化は、砂地に生えるウミヒルモなどの海草の生育にも、一時的あるいは半永久的に影響を与えることが予想される。これらの植物の消失は、それを餌としている動物の生息環境ではなくなることを意味しており、そして、このような事態に陥る可能性は低くはないと考えている。
 我々としては、極東の安全保障の問題に抵触する基地問題の是非に関して発言を行うつもりはないが、当事者である日米両政府が、今回の基地建設がこの海域の生態系を大きく変化させ、場合によっては日本で唯一のジュゴンの生息地、あるいは西太平洋でも重要なアオウミガメの餌場を消失させる可能性が高いことを自覚された上で、十分な配慮を行いながら、事業を遂行していただくことを期待する。  

日本ウミガメ協議会会長 亀崎直樹

LinkIcon神戸新聞2012年7月24日記事のPDFはコチラをクリック

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「普天間基地辺野古移設に関して」2007年9月21日

●「普天間基地辺野古移設に関して」07/9/21
皆さんも御存知でしょうが、沖縄の普天間基地の代替施設が沖縄県北部東岸の辺野古に建設されようとしています。この海域はアオウミガメの餌となる海草類が沢山はえています。埋め立ては、潮流を変化させて、付近の生態系を大きく変化させます。周辺の藻場も破壊される可能性が大です。協議会としては日本自然保護協会の意見書作成に協力し、その問題点を指摘しました。 亀崎

普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書に対する

LinkIcon環境保全の見地からの意見書 (pdf)

LinkIcon環境影響評価の項目の選定 (pdf)
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「日本のウミガメ保護に関する、日本ウミガメ協議会の考え方」05/03/11

日本のウミガメ保護に関する、日本ウミガメ協議会の考え方

平成17年3月11日

1 日本およびその周辺海域の位置づけ

 日本の海岸線ではアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種のウミガメが産卵する。特に、北太平洋のアカウミガメの産卵地はすべて日本に含まれる。また、アオウミガメ、タイマイの産卵地は南西諸島に存在する。2004年の産卵シーズンにはアカウミガメ4854巣、アオウミガメ1206巣、タイマイ3巣が確認されている。

 一方、近海にはアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイが多く生息しており、これら3種の生育海域としての重要性は高い。また、オサガメとヒメウミガメも年に数回の発見記録があるに過ぎない。


2 保護する対象

 以上より、日本で展開される保護活動は、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの産卵海岸とそこでの産卵個体・卵の保護およびこれら3種の生育海域の生態系の保全である。

 具体的には、関東地方から南西諸島にかけての砂浜の保全、そこでの人間活動の規制が必要である。また、生育海域の保全としては、アオウミガメが餌場とする藻場、タイマイが餌とするカイメンが生息するサンゴ礁海域の保全が重要となる。


3 具体的な保護の方向性

 アカウミガメ

 徳島県日和佐や蒲生田の過去の産卵記録と比較すると、現在のアカウミガメの生息数は1950年代の数十分の1ではないかと推定される。従って、我々の目標としては、現在の10倍にあたるシーズンに50000回の産卵巣を目標に設定したい。

 具体的には次のような活動を展開する。

(1) 産卵場となる砂浜の環境保全

(2) 産卵場におけるふ化率の向上につながる活動

(3) 混獲死の減少につながる活動


 アオウミガメ

 小笠原においては19世紀末に年間1500から2000個体が捕獲されていたという記録がある。仮にこれが来遊個体数の25%だとすると、8000個体が来遊してきていたと想定できる。内、半分の4000個体がメスとし、1シーズンの産卵は1個体あたり3回とすると、12000回の産卵があったと考えられ、それは現在の10倍である。従って、我々の当面の目標としては、現在の10倍にあたるシーズンに12000回の産卵巣を目標に設定したい。そのためには次の活動を展開する。

(1) 産卵場となる砂浜の環境保全

(2) 産卵場におけるふ化率の向上につながる活動

(3) 混獲死の減少につながる活動

(4) 餌場となる藻場の保全


 タイマイ

 産卵記録から過去との比較を行うことは出来ないが、本種の幼体・未成熟個体が南西諸島海域に多く生息することから、日本ではその餌場であるサンゴ礁海域の保全が最も重要であると考える。それに関して、次の活動を展開する。

(1) 餌場となるサンゴ礁海域の保全

(2) 混獲死の減少につながる活動

(3) 産卵場となる砂浜の環境保全


4 現在における進捗状況

 成績は5段階評価。5はほぼ完結、1は全く手が着けられていない状況。

アカウミガメ

 産卵場所の特定 4

 孵化・発生状況の把握 3

 混獲死状況の把握 2

 移動、回遊経路の特定 3

 餌場の特定 2


アオウミガメ

 産卵場所の特定 4

 孵化・発生状況の把握 2

 混獲死状況の把握 2

 移動、回遊経路の特定 2

 餌場の特定 1


タイマイ

 産卵場所の特定 3

 孵化・発生状況の把握 1

 混獲死状況の把握 2

 移動、回遊経路の特定 1

 餌場の特定 3


5 今後の活動計画

 アカウミガメ

 産卵場の保全に関して、既に卵の採取は日本においては重要な問題とは言えない。また、砂浜の花火や車両の走行も重要なレベルにあるとは考えない。最も重要な問題は、砂浜の侵食である。これを防止する手段を提案するとともに、生態学的に健全な砂浜を保全する。また、産卵場で行われる放流会も生活史を撹乱することは間違いないことから、その影響を調べていくとともに、健全で本質的な保護活動を推奨していく。産卵場以外で重要な要因は混獲死である。海岸に打ちあがる死体の数から、多くの形態の漁業で混獲死が起こっていることが想定されている。漁業者の生活も考慮した上で、我々はそれを減らす努力を行う。


 アオウミガメ

 本種は肉として、あるいは剥製材料として、利用されてきた経緯がある。しかし、それによって消費されている個体数を考えると、我が国国内においては、それらは大きな問題ではないと考える。そこで最も重要と考えるのは混獲死である。漁業者の生活も考慮した上で、我々はそれを減らす努力を行う。また、日本近海は藻場が豊富であり、彼らの餌場としての重要性は、今後増してくると考えられる。アオウミガメの餌場である藻場の保全は重要な活動と位置づける。


 タイマイ

 本種はべっ甲細工の材料として、あるいは剥製材料として、利用されてきた経緯がある。しかし、それによって消費されている個体数や現在ワシントン条約で輸入が禁止されている現状を考えると、我が国国内においても海外においても、それらは大きな問題ではないと考える。そこで最も重要と考えるのは混獲死、特に南西諸島における刺し網における混獲死である。漁業者の生活も考慮した上で、我々はそれを減らす努力を行う。また、南西諸島は豊かなサンゴ礁を保持しており、彼らの餌場としての重要性は、今後増してくると考えられる。タイマイの餌場であるサンゴ礁海域の保全は重要な活動と位置づける。

「今後の港湾環境政策の基本的な方向について(案)」に関する意見  05/03/02

「今後の港湾環境政策の基本的な方向について(案)」に関する意見

平成17年3月2日

〒573-0163 大阪府枚方市長尾元町5-17-18-302
NPO法人 日本ウミガメ協議会 会長
東京大学大学院農学生命科学研究科客員助教授
亀崎 直樹
TEL:072-864-0335, FAX:072-864-0535
http://www.umigame.org

私が会長を務める特定非営利活動法人「日本ウミガメ協議会」は、ウミガメおよびその周辺生息環境の保全を念頭に活動する団体です。ウミガメ類の保全に関し、港湾環境政策は非常に重要な案件であり、この度、募集されました「今後の港湾環境政策の基本的な方向について(案)」に関する意見を、提出させていただきます。
まず、「今後の港湾環境政策の基本的な方向について(案)」を拝見し、環境保全の方向性を強く感じることができ、ウミガメおよびその生息環境の荒廃を憂いている私どもにとっては、まことに喜ばしいものと考えます。
しかし、その中で気になることがありましたので、以下に書き留めさせていただきます。

1 港湾環境政策の地理的範囲の定義がされていないことが気になります。

日本本土で繁殖するアカウミガメ(環境省レッドデータブックにて絶滅危惧Ⅰb類に指定)の繁殖地において、港湾の建設によってその繁殖地としての機能が失われつつあるところがいくつかあります。
例えば、黒島西の浜(八重山諸島)、水納島(宮古諸島)、沖縄島恩納村塩屋海岸、鹿児島県志布志湾、宮崎県宮崎海岸、熊本県天草白鶴海岸、高知県室戸市元海岸、愛知県豊橋市遠州灘海岸、静岡県御前崎海岸などでは、砂の侵食によって砂浜が衰退し、ウミガメが産卵できない状態に至りつつあります。これらの地域での砂の侵食は、すべて付近に建設された港湾に原因があるのではと考えられています。つまり、港湾の建設により、漂砂の移動に変化が起こり、砂の堆積に変化を引き起こすと判断できます。
特に、著しいのが、宮崎海岸、元海岸、御前崎海岸で、それぞれ、宮崎港、室津港、御前崎港の建設(拡張)が原因と判断されます。具体的には、宮崎港はその北に伸びる海岸から砂を消失させ、その影響は北へ北へと伸びています。一方、高知県室戸市元地区の砂浜は、その東方で行われている室津港の拡張工事によって、消滅しつつあります。さらに、御前崎海岸も岬の駿河湾側に出来た御前崎港の影響で、岬を取り囲むようにして存在した砂浜の大部分が消失しています。これらの海岸では、ウミガメが産卵できない、あるいは産卵しても孵化しないという問題がおきており、アカウミガメの種の存続において重要な問題になりつつあります。
従って、港湾の環境を議論する場においては、常に港湾のかなり広い周辺に対する影響をも配慮することを盛り込んでいただきたいと思います。


2 再生または創生するとされる自然環境の定義が曖昧であることが気になります。

今回、失われた自然環境を再生あるいは新たな自然環境を創出することが盛り込まれたのは、非常に評価できることと歓迎いたします。しかし、再生あるいは創出する自然環境の質的議論が全く行われていません。
現在、日本各地では人工海浜が作られており、その中には、ウミガメの産卵場の再生を念頭においたものも見受けられます。しかし、安易に再生された砂浜と自然の砂浜は質的に異なっています。自然の砂浜とは、常に砂が波によって洗浄されているのに対し、人工海浜の砂は堆積したままの状態であるため、時間の経過とともに砂が固結してしまうのです。
これは、人工海浜を単に海岸線における砂の堆積と考えていることに起因すると思われます。本来の砂浜は前述したような砂の流出洗浄と堆積を繰り返す動態であり、そこには多くの動植物も加わり生態系という微妙なバランスを形作っています。つまり、砂浜を再生するにはそのバランスの再生が必要になるわけです。
従って、本文書中においては、安易に自然再生とするのではなく、生態系の再生を目指す観点を加えていただきたいと思います。
以上、意見を述べさせていただきました。