Yu-chan Project

  • -Sea Turtle Association of Japan-

悠ちゃんQ&A

悠ちゃんプロジェクトに関して、幾つかの問い合わせがあります。
その中で、多い質問内容への回答です。

※質問をクリックしてください。回答が表示されます。

Q 悠ちゃんをどうして助けたいと思ったのですか? それはアカウミガメの保護につながりますか?

A 理由には下記のようなものがあります。

(1) 悠ちゃんを昨年6月から12月まで神戸空港の人工池で飼育しました。12月に他のカメは紀伊水道で放流したのですが、悠ちゃんは両方の前肢がないため遊泳力が弱く、放流しても再度サメに攻撃を受けたり、高速船との衝突を避けられないと判断しました。多くの神戸市民の方々も、放すのはかわいそうでは?…というものでした。遊泳力の計測なども行い、放流しても海で生きるのは困難だと判断し、飼育することにしました。しかも、このような状態のウミガメを飼育してくれる水族館はなかなか見つかりません。多くの市民の方々の「かわいそうに」と思う心を無視できなかったのが第一の理由です。

(2) 私達の活動のモチベーションはヒトを含めた自然保護にあります。また、生物群集(すべての生物の集合)や個体群(種)の保全も念頭にいれています。しかし、これまで個体の保護の概念は、あまりありませんでした。しかし、自然や生物群集や種には感心を注げるのに、個体に愛情をそそぐことは出来ないのか? それを拒否する理由が見つからなかったのが2番目の理由です。

(3) 私は日本人の考え方が、欧米人に比較すると偏狭すぎると思っています。ニュースは日本国内、しかも、自分たちの生活に関する問題に偏っていることをみてもわかります。この風潮が日本の国際的地位を低くしている最大の原因だと考えています。もっと多様なことに価値や感心を見いだす風潮を世に求めたいと思ったのが3番目の理由です。例えば少し具体的に説明すると、欧米にはウミガメを対象とする病院がいくつもあります。日本にはそのような施設はおろか、発想すらありません。日本人がより広範な対象に対して幸せを与えるような社会を目指したいと思ったのです。

(4) ウミガメの義肢は世界で試みた例はあるのですが、成功した例がありません。アメリカでもありません。今回は、川村義肢という高い技術を持った会社と出会い、そこの方々のチャレンジ精神に触れて、やってやろうという気持ちになっているのが4番目の理由です。いわばチャレンジ精神です。

(5) ウミガメは片方の腕が無くてもかなり泳ぐことが可能です。今回のように両方の腕がないカメは滅多に出会えません。でも、もし出会ったときは同じよう助けてやる技術をヒトは備えておくべきと考えるのが5番目の理由です。

(6) よく都会の人から、自然を守るのに何か出来ることはないか、と聞かれます。私は、正直、あまりないと思うのですが、もし、あるとするなら今回のようなことかな、と考えたのが6番目の理由です。皆さんで、アジア初のウミガメ病院をつくりませんか。

Q プロジェクトの目的は?本当に悠ちゃんのためになりますか?

A 今の段階では、以下のような考え方がメンバーの中に混在しています。
  1 悠ちゃんがかわいそうだから、なんとかしてあげたい。
  2 自分がこれまでやってきたことで、今回のプロジェクトに貢献できたらうれしい。
  3 やれないことに挑戦することは楽しい。
  4 暗い日本に何か爽やかなことをしたい。
  5 自分の研究に役立てるデータが得られる。
  6 新たなことが解明されることはうれしい。
  7 これを機会に市民に野生動物への関心をもってもらいたい。
  8 異分野の人材が集まるプロジェクトは少ない。日本にはこんなプロジェクトがもっと必要だ。
  9 この技術で、人類が野生動物に貢献することが出来るようになればいい。
  10 組織の保護活動の認知度アップにつながる。

悠ちゃんの状態ですが、遊泳速度を記録計で計測しています。速度自体は上がっておりますが運動はまだぎこちないことも確かです。これはヒレの大きさ、材質がまだ適当ではないこともありますが、ヒレを失った悠ちゃんは左右のバランスをうまくとるために、左右のヒレを異なって動かしているためでもあります。今のところ、装着技術を考えていますが、その次は形状に材質、さらに、数十年は必要な耐久性、そして、彼女の幸福度が上昇しているのかをチェックしようと考えております。

Q 水族館で飼育してもらえないのですか?

A 日本には水族館が多くあります。館によって考え方に差はありますが、大きくなったウミガメは扱いが難しくなり、多くの場合海に放流されます。そのような水族館の内情を知っているだけに、頼みづらいのです。

Q 放流して人工ヒレがはずれたら、環境破壊になりませんか?

A 幅15cm、長さ60cmの人工ヒレが海中に投棄されたことになります。これを環境破壊というなら、確かに環境破壊です。なるべく環境に負荷のかかない材質を選べればと思うのですが、現段階ではウミガメの機能的な観点や耐久性などを重視しています。今後も試行錯誤を重ね、人工ヒレの開発を進めていきたいと思います。

Q 集めたお金はどのようなことに使うのですか?

A カメの輸送にかかる費用、餌代、治療や健康管理に必要な薬品代、専門家に集まっていただく旅費(沖縄美ら海水族館の獣医さんにも来てもらいます)、ウミガメの行動を監視するアルバイト代、ウミガメの遊泳状態を記録する装置の購入費などに充てています。義肢の開発費に関しては、川村義肢の善意にすがっています。

Q マスコミに出ることで、日本ウミガメ協議会の宣伝をしてるだけでは?

A これは絶対にありません。秘匿性をなくすために、希望されたマスコミには何を実施するか予定を連絡していますが、取材を要請するようなことは行ってません。また、発足して20年、その姿勢は変化していません。

Q いつごろ放流の予定ですか?

A 解りません。義肢を開発し、かなり耐久性の高いものができたとしても、そのテストに長い時間がかかると思われます。少なくとも2009年中の放流はないと思われます。

Q 今後の予定は?

A 現在はまだプロジェクトが始まったばかりで、人工ヒレの装着技術の開発を行っているところです。装着技術に目処がたったら、ヒレの大きさや弾性の検討、耐久性の検討、そして悠ちゃんが幸福になっているのかの検証を行う予定です。一番、難しいのは、彼らの長い寿命に対する配慮で、どの程度の耐性があれば完成とするのか? そこも今後議論する必要があります。放流はいつ?とよくきかれますが、あくまでも将来の目標であり、全く目処はたっていません。