ウミガメについて知りたい

ウミガメの教科書(上級編)

 

進化

 現在までに化石が見つかっている最古のカメは、三畳紀後半(約2億1000万年前)に出現したプロガノケリス(Proganochelys)と呼ばれるもので、このカメにはまだ上顎に歯が備わっていました。ジュラ紀(約2億800万年前~1億4500万年前)になると、海で暮らしたと思われる種が出現してきます。カメ目は頸を横方向にS字型に折り畳む曲頸亜目と、縦方向に畳む潜頸亜目とよばれる2つのグループに分けられますが、白亜紀になると曲頸亜目から多くのウミガメ類が出現しては消えていきました。一方で潜頸亜目からもウミガメ科とオサガメ科を含め、多くのウミガメ類が出現しています。その中で、7500万年前に出現したアーケロン(Archelon)は最も巨大なウミガメ類で、全長は4.5m、体重2~5トン、頭だけでも長さ1mありました。強力な顎でアンモナイトを食べていたと考えられています。現存種の化石も、300万年も前の地層から見つかっています。
 

アオウミガメの骨格標本


 化石で見つかる爬虫類を分類するときに、頭骨を見て、目の後ろにある穴(側頭窓)の数で大きく3つのグループに分ける方法があります。すなわち、無弓類、単弓類、双弓類です。無弓類は最も原始的なグループ、単弓類は哺乳類へと進化したグループ、双弓類からは現存する爬虫類や恐竜、鳥類などが出現しました。カメの場合は側頭窓がないことから、原始的な無弓類とされていました。しかし、最近では、カメも双弓類であり、ただ側頭窓の隙間を埋めるように進化したものであると考えられています。