ウミガメを見つけたら

こんな時には

産卵や足跡を見つけたら

 
 
 

海岸を散歩していると、砂浜の上にキャタピラのような跡を見つける事があります。これはウミガメが上陸した足跡の痕跡です。足跡の形で、上陸した種がわかる場合があります。しかし、その足跡も雨や風により消えてしまう場合があります。足跡により種を判別する事は時間が経てば経つほど難しくなります。現在、砂浜の減少や人為的な行動により、ウミガメが産卵できる浜が少なくなってきています。だからこそ、『いつ・どこに・どれだけ来たか』という基本的な情報は、国内のウミガメの状況を理解する上で非常に重要なのです。我々も、ウミガメの上陸する浜の全てを把握しているわけではありません。みなさんが住んでいる近くの砂浜で、ウミガメの上陸跡を見かけたら、ぜひご一報ください。これまで調査の及ばない海岸で、海釣りに出かけた方やサーフィンをされている方から「偶然目撃した」など、貴重な情報を頂いたこともあります。

死体をみつけたら 

 
 

ウミガメの場合、その死体または弱って遊泳力を失った個体が海岸に流れ着くことを、ストランディング(漂着個体:stranding)と言います。日本におけるウミガメの産卵は、北関東を北限に主に南西日本の太平洋側で行われています。そのような場所からは産卵情報を中心に、ストランディングの情報も頂いております。しかし、普段ウミガメに接する機会のない地域からは、なかなか情報が得られないのが現状です。
海岸や港を散歩中にウミガメの死体を発見した、釣りの最中に海に漂っているのを見つけたなど、目撃情報だけでも貴重なデータとなります。ぜひお気軽にご連絡ください。

寒さで海岸漂着したウミガメを見つけたら

 
ウミガメは通常、15℃以下になると急激に活動性が低下し、10℃以下にまで下がると浮力が調節できずに海面に浮き上がり、死亡する個体が出てきます。晩秋から春まで日本沿岸の水温は低下していき、ウミガメの生存限界よりも低くなります。温かい海域に移動できなかった個体の中には、寒さに凍え、仮死状態(低体温症)になって海岸に打ち上げられるものもいます。このような個体は、いち早く処置を施すことで蘇生する可能性があります。但し、処置を誤るとせっかくの発見が台無しになります。低体温症になったウミガメの対処法についてはまだ研究段階にありますが、代表的なものとして、Sadove et al.. (1998)があります。この概要を記しますので救助の際の参考にして下さい。
 
低体温症のウミガメの評価と初期治療