ウミガメの教科書(上級編)
病理
飼育下では個体の健康管理が問題となります。例えば、子ガメを飼育する場合に特に問題なのが、咬み合いによる外傷性潰瘍性皮膚炎です。病変部から感染をおこし、多くの個体が死亡することもあります。1歳を越えると咬み合いも減り、死亡する個体もぐっと減ります。他に、潰瘍性胃炎が原因で、乾酪性-化膿性物質が口腔内に栓塞し、閉塞性鼻炎と肺炎が合併する例も多いようです。これらの疾病に羅感すると、体の平衡を失い、呼吸困難に陥ってしまいます。
一般的に、野生個体では飼育個体に比べて細菌性疾患がみつかる例は少ない一方で、吸虫などに寄生される例は多いようです。オーストラリアや、八重山で調べた研究では、いずれも7-8割の個体の臓器からHapalotrema 属の吸虫が見つかっています。
その他に、野生個体で特に注目されているのは、フィブロパピロマ(fibropapilloma)と呼ばれる奇病です。これは、鼠けい部、首や目の回り、口腔内、および内臓などに、1cmから30cmほどのカリフラワー状の腫瘍ができる疾病で、1938年にフロリダではじめて見つかった後、1980年前半になってからフロリダとハワイのアオウミガメで再発見され、現在では日本も含め、世界各地で見つかっています。罹患個体の大部分はアオウミガメですが、アカウミガメやヒメウミガメで見つかる例もあります。腫瘍が大きくなると視覚や摂餌が阻害されたり、漁網に混獲されやすくなるなどの弊害があります。以前は、死に至る不治の病と考えられていましたが、最近の研究では、自然治癒することも分かってきました。線維乳頭腫関連ウミガメヘルペスウイルスへの感染が原因と考えられていますが、詳しくはまだ分かっていません。
一般的に、野生個体では飼育個体に比べて細菌性疾患がみつかる例は少ない一方で、吸虫などに寄生される例は多いようです。オーストラリアや、八重山で調べた研究では、いずれも7-8割の個体の臓器からHapalotrema 属の吸虫が見つかっています。
フィブロパピロマ罹患個体
その他に、野生個体で特に注目されているのは、フィブロパピロマ(fibropapilloma)と呼ばれる奇病です。これは、鼠けい部、首や目の回り、口腔内、および内臓などに、1cmから30cmほどのカリフラワー状の腫瘍ができる疾病で、1938年にフロリダではじめて見つかった後、1980年前半になってからフロリダとハワイのアオウミガメで再発見され、現在では日本も含め、世界各地で見つかっています。罹患個体の大部分はアオウミガメですが、アカウミガメやヒメウミガメで見つかる例もあります。腫瘍が大きくなると視覚や摂餌が阻害されたり、漁網に混獲されやすくなるなどの弊害があります。以前は、死に至る不治の病と考えられていましたが、最近の研究では、自然治癒することも分かってきました。線維乳頭腫関連ウミガメヘルペスウイルスへの感染が原因と考えられていますが、詳しくはまだ分かっていません。